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2006年1月の6件の記事

2006年1月15日 (日)

夢のクレヨン王国・第36話

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 「夢のクレヨン王国」とは、1997年9月~1999 年1月に放送された幼児向けのファンタジーアニメです。物語はクレヨン王国の国王と王妃が石にされたところから始まります。このままでは国王と王妃は死んでしまいます。そこでクレヨン王国の王女であるシルバーが両親の魔法を解く為に旅に出ると言う話です。

 今週はたまたま「5月の旅Ⅰ~Ⅴ」を観たのでレビューをしたいと思います。その中でも特に面白かったのは「5月の旅Ⅳ」です。12歳のシルバー王女が過去に行き、5歳の頃のシルバー王女に会うと言う話ですが、5歳の頃のシルバーに手を焼く12歳のシルバーを観ているだけでも楽しめる事うけあいです。特に12歳のシルバーが5歳のシルバーの秘密を暴露すると、その全てが12歳のシルバー自身に返って来る場面が面白いです。タイムスリップ物の面白さが堪能できる素晴らしいギャグだと思います。

 5歳のシルバーが12歳のシルバーをカメレオン総理の手から守ろうとする展開も良いですね。そして12歳のシルバー王女が未来に帰る前に書いた両親宛ての手紙も泣かせます。

「お父様、お母様、なにがあってもおふたりは12歳のシルバーがおすくいします」

 あのシルバー王女が敬語を使っている所がミソです。彼女の決意がひしひしと伝わってきます。過去で両親と逢えなかった事、そして5歳のシルバーと逢った事が、余計にシルバー王女の心を奮い立たせたのだと思います。もうこれはシルバー王女を心から応援したくなるエピソードですね。

そして手紙を読んだ5歳のシルバーの台詞も最高です。

「うーん・・・、汚い字・・・」

泣かせ所にギャグを持って来るとは、こう言う事なのだと思います。

 最後に夢の中で武烈女王様に逢うエピソードも、シルバー王女の決意を確たるものにしたと思います。最後の最後まで隙のない脚本です。

 「夢のクレヨン王国」はマイナーな作品ですが、「おジャ魔女どれみ」のスタッフが作った良質な作品です。幼児向けのファンタジー作品が好きな方は是非ご覧になって下さい。

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2006年1月 7日 (土)

ちっちゃな雪使いシュガー#24

『あたしはここにいるよ』

 実に綺麗な最終回でした。サガとシュガーの絆が結ばれた時が、二人の別れの時なんて悲しいですよね。でも魔法の花が咲いたという事は、彼女達が成長した証でもあるのです。悲しむべきではなくて、むしろ喜ぶべき事なのでしょう。そしてこれが彼女達の卒業式、これからはそれぞれの人生を歩んでゆくのだと思います。

 唐突に前回の最後でソルトとペッパーが帰って来たのは御都合主義だと思いましたが、サガとの別れの挨拶をさせる為だと思うと、これくらいの御都合主義も有りかなと思いました。そしてソルトとペッパーが長老に許しを得て人間界に来られたように、妖精界に帰ったシュガーもサガに逢いに来られるのかもしれません。雪使いとして一人前になったシュガーには人間界で季節を司ると言う仕事もありますからね。そしてシュガーはサガにも逢うでしょう。しかしサガにはシュガーの姿を見ることは出来ません。ここがこの物語のミソなのだと思います。

 最終回の最大に見せ所は、シュガーが去った後のサガの表情です。それまで我慢して笑っていたサガの感情が一気に溢れ出します。この場面は作画も力が入ってましたね。サガの気持ちが画面から痛いほど伝わって来ました。

 ラストシーンにカノンを再登場させたのも上手な構成だと思いました。シュガーが去った後の悲しさを拭い、しかも心地良い余韻をも残したと思います。

 最後になりますが、この作品がキャラクターを動かすだけのダラダラした展開にならなくて良かったと思います。潔くスパッと終わるからこそ名作と成り得るのです。物語り全体を振り返ると、クマのピアニスト編辺りは中だるみしていますが、シュガーとサガの関係だけはしっかりと描いているので、最悪な状況だけにはならなかったと思います。やっぱり主役を丁寧に描写するのは、とても大切な事なんですね。欲を言えば、お婆さんとサガの物語、ペッパーと赤ちゃんの物語を観たかったです。最後に・・・、この作品を創られたスタッフ皆様に感謝いたします。そして残るレビューは特別編のみです。大好きな作品のレビューが終わると言うのは寂しいものですね。

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ちっちゃな雪使いシュガー#23

『ミューレンブルクの小さな奇跡』

 久々に中山由美さんが作画監督の回です。絵が動いて、動いて、動きまくってます。作画に関しては手抜きが一切ありません。本当に凄いです。まさしくこれがアニメーションの真髄!と言う感じです。そして動きで笑わせる演出も素晴らしいです。真面目なアンヌが車からピアノに乗り移る時の駆け足には大笑いさせて頂きました。ブレーキの看板の支柱が折れた時の皆の顔も可笑しいです。しかも真剣な表情を描くのを忘れてはいません。グレタの両親の車の前にサガとフィルが登場したシーンの彼らの表情は最高に輝いています。僕が一番好きなシーンは、ピアノを乗せた車でサガとグレタか交わした会話です。
サガ「勝負よグレタ!一緒に車を止めるの!」
グレタ「望むところよ!」

このシーンの彼女達の表情は実に生き生きとしています。本当の意味で良きライバルだと思います。

 もう何回も観ている作品なので感動も薄れがちですが、放送当時はグレタ達がサガを想う気持ちに感涙したものです。皆がサガの為を想って必死になっている姿が泣けるのです。しかも泣きながらギャグで笑ってしまうと言う、泣き笑いの状態でした。

 皆を乗せた車が橋桁から河に転落する寸前で、シュガー、ソルト、ペッパーの魔法により空中に浮かびました。この作品がファンタジーだと言う事を再認識させられたシーンです。僕はシュガー達の魔法を当然の如く受け入れていたので神秘性を感じなくなっていました。しかし、このシーンを見て思い直しました。魔法は異世界の産物、そして奇跡を起こすものなのだと。皆が必死になって、頑張って、頑張って、頑張った末に、魔法が使われ、奇跡が起こるのです。今回はその奇跡を呼ぶに値する物語でした。

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2006年1月 6日 (金)

ちっちゃな雪使いシュガー#22

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『ゴメンね、シュガー』

 グレタを筆頭に、ノーマ、アンヌ、フィル、ジャン、アラン、ルキーノさんがサガの事を心配しています。サガは倒れたシュガーの事を心配しています。そして季節使いのジンジャーや長老も二人の事を案じています。今回は皆が皆、周りの人の事を気遣う温かい話です。

 特にグレタの描き方が素晴らしいと思います。前回、前々回のシュガーとサガと同じように、この回のグレタも本心を明かしません。グレタはサガの事が好きで心配しているのにも関わらず、強引なこじつけでピアノをサガの元に返そうとするのです。

”本心を明かさずに相手の事を想う”

 このように行動したキャラクターは端から見ると健気に映ります。これは人々を感動させるポイントのひとつだと思います。

 細かい事ですが、ひとつだけ気になった点があります。それはジンジャーの台詞です。ジンジャーはシュガーの病気の事を聞こうとしたサガに、「あなたならちゃんとシュガーを受け止めてくれると思ったのに!」と怒鳴ります。これは叱咤する事によってサガとシュガーの絆を元に戻そうとしたのだと思いますが、この台詞だけではジンジャーの真意はわかりません。ジンジャーの本心がわかる台詞を一言で良いので付け加えた方が良かったと思います。

 シュガーが復活する場面はともて感動的でした。この時点でサガの一番大事なものはピアノではなくシュガーになったのです。そして二人の絆が強まった事を魔法の花が祝福します。実に温かくて心地良くて素晴らしい創りだと思います。

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ちっちゃな雪使いシュガー#21

『ひとりぼっちのふたり』

 サガに続きシュガーまでもが辛い目に遇うと言う展開が見る側に絶望感を募らせます。シュガーとサガの心に隙間風を吹かせるのが実に上手い脚本です。よくよく考えるとサガとシュガーの関係は壊れてはいません。ですがシュガーに疎外感を与える事によって絶望の淵に追い込んでいます。アルバイトで失敗してしまった一件と、同期のソルトとペッパーが魔法界に帰ってしまった事が、シュガーをひとりぼっちにさせたのです。シュガーの視点で描いたからこそ疎外感が表現出来たのだと思います。しかもシュガーはソルトとペッパーの事を想って、彼らが魔法界に帰るところを笑顔で見送ります。そして彼らが去った後に泣き崩れます。寂しさは本心を現さない方が効き目があります。なかなか抜け目のない脚本だと思います。

 しかしながら不満な点もあります。それはソルトとペッパーをぞんざいに扱っている部分です。ちっちゃな雪使いシュガーは、シュガーとサガの関係を中心に描いているので仕方がない事だとは思うのですが、これではソルトやペッパーの気持ちが伝わって来ません。ソルトの場合は太陽使いよりも雲使いの方に憧れた理由を丁寧に描かないと感情移入が出来ないし、ペッパーの場合も赤ちゃんの事を想って魔法の花を咲かせた場面を丁寧に描かないと感情移入が出来ないのです。

 今回は作画や演出がとても上手でした。さすがに作画監督の三浦貴弘さんは一味違いますね。特に草原でソルトがターメリックと話しているシーンは構図を含めてとても気に入ってます。

 余談になりますが、最後にシュガーが倒れたシーンを見た放送当時のインターネットの人々の間で、”シュガー死亡説”がまことしやかに囁かれました。今となっては懐かしい思い出です。

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ちっちゃな雪使いシュガー#20

『消えちゃった約束』

 いよいよ最終回に向けて物語が動き出しました。ここからは息をつく暇もない展開なので、一気に最後まで鑑賞する事をお薦めします。

 今回はサガの揺れ動く気持ちを、実に上手く表現しているシナリオだと思いました。ピアノが売れた事を知ったサガは、悲しい気持ちをおくびにも出しません。しかしピアノがグレタの部屋にあるとわかると気持ちを抑えきれずに爆発させます。この揺れ動くサガの内面を台詞で説明せずに、サガの行動や表情によって客観的に表現している描き方が実に巧みです。サガがお婆さんの前で普段の自分を繕う姿がとても痛々しいと感じてしまうのも、彼女が本心とは裏腹な行動をしているからだと思います。

 グレタが誕生日のプレゼントのピアノを弾く瞬間にサガの表情が変わる場面も見所です。ここはサガにとってどれくらいピアノが大切な物なのかが手にとるようにわかる瞬間です。そしてここからは客観的にサガを見せるのではなく、サガに感情移入させる主観的な描き方に変わります。その為にサガの母親の思い出をフィードバックさせています。この辺の創り方が実に上手いと思いました。あらゆる方向からサガの悲しみを、これでもか、これでもかと、表現するからこそ、視聴者はサガと一体になれるのだと思います。

「グレタにお願いすればいつでも弾きにいけるよ!良かったねサガ!」
これはシュガーの台詞ですが、サガに感情移入してしまった視聴者は、それは違うよ!サガは誰にもお母さんの思い出が詰まったピアノを触らせたくないんだよ!・・・と、思ったはずです。サガの内面を丁寧に描いたからこそ、このシュガーの台詞とサガの内面のギャップが表現できたのです。僕はこのような感情の流れを丁寧に描く構成は大好きです。素直に関心しました。

 サガのお母さんのピアノだと知ったグレタが、ピアノを傷つけないように大切に扱うシーンも泣けます。ピアノがサガにとってどれほど大切なものなのかを表現する一方で、グレタのジレンマを表現した上手い場面だと思います。

 今回は本当に素晴らしい脚本、演出でした。ただ、前にも書きましたが、サガがピアノを手放した理由が、「思い出がいっぱいあって辛いから…」だけでは弱いんですよね。だったら初めから手放さなければいいじゃないか!となってしまいますから。終盤の流れの根底がここに集約されるだけに、実に悔やまれる点です。

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